シマノSPD-SLRは買い?|SPD-SLとの違いと互換性

結論
- SPD-SLRは2003年のSPD-SL以来、23年ぶりのシマノの新しいロード用ビンディング。スタックハイトが2.3mm低くなり、クリートは最大22%軽く、クリップインもしやすくなりました。
- BikeRadarの評価は5点中4点。接続感と安定感はトップクラスですが、クリートの前後調整幅がほぼなくなったため、今のシューズで好みの位置に合わせられるかが最大のポイントです。
- SPD-SLとSPD-SLRのペダルとクリートは互換性がありません。シューズは3ボルトのまま使えますが、専用シューズと組み合わせて初めて本領を発揮します。
シマノのビンディングには、3ボルトのSPD-SLと、2ボルトのSPDがあります(3ボルトの規格はもともとルックが作ったもので、2ボルトはシマノ自身の規格です)。そのSPD-SLが、23年ぶりにSPD-SLRとして新しくなりました。この動画では、シマノ公式サイトの記事と、海外メディアBikeRadarのレビュー記事、比較記事の3つを紹介しています。
日本のメディアはシマノから来た情報を要約しただけのことが多いですが、海外記事には記者の見解が入っていて面白いです。ちなみに、シマノの最高峰シューズがしばらく前からやけに安く売られていたのは、これが理由だったのかもしれません。
Q. SPD-SLRで何が変わった?
2003年、折りたたみ携帯やiPodの時代に生まれたSPD-SLが、ついに刷新されました。シマノは、シューズ・ペダル・クリートが連携して初めて最高のパフォーマンスが生まれる、一つのシステムと位置づけています。
| 項目 | SPD-SL | SPD-SLR |
|---|---|---|
| スタックハイト(デュラエース) | 14.6mm | 12.3mm |
| スタックハイト(アルテグラ) | 15.6mm | 13.3mm |
| キャッチの角度 | 15.5° | 10.5° |
| クリート重量(ボルト込み) | 71g | 55g(最大22%軽量、ワッシャー不要) |
| 互換性 | — | ペダル・クリートはSPD-SLと互換なし |
- スタックハイト2.3mm低下:足がペダル軸に近づき、安定したペダリングやバイクコントロールにつながる
- クリップインしやすい:キャッチの角度は狭まったが、キャッチゾーンは広くなり、すっと足が入る
- クリートの位置合わせ:アライメントマークが見やすく、好みのセッティングを再現しやすい。ボルト穴の幅が広がり、横方向の調整幅も増えた
ペダルとシューズ
- デュラエース PD-R9300:超ワイドなプラットフォーム、一体型ステンレスプレート、ワイドなベアリング。剛性はアルテグラより11%高く、回転抵抗は13%低い。ペダル1セットで228.3g(レビュー実測)、クリートまで含めたシステムで283.3g
- アルテグラ PD-R8200:同じSPD-SLRプラットフォーム。カーボンボディとステンレスプレート
- シューズ:最上位のS-PHYRE RC910と、デュアルBOAのRC810。どちらも前後の調整幅が広く取られている
クリートの種類
| 色 | フロート | 特徴 |
|---|---|---|
| 赤 | 0° | 足がまったく動かない、一番ダイレクト |
| 黄 | 6° | 幅広いライダー向け |
| 青 | 2° | 安定重視 |
| グレー | 6° | 調整範囲が広い。ただしスタックハイト低下や軽量化の恩恵はない |
Q. 実際の評価は?
BikeRadarの評価は5点中4点。タイトルは「新しいペダルシステムは最高、ただし1つ大きな妥協がいる」でした。
良いところ
- クリップイン・アウトが簡単
- クリートとの接続感と安定感は、記者が試した中でもトップクラス。ガタつきもない
- 軽く、スタックハイトが低く、長く使えそう
良くないところ
- クリートの前後調整幅がほぼない
- そのため、対応するシューズが必要になる場合がある
スタックハイトの低さは、わずかな差ですが、サドルを数mm下げたくなるほど実感できたそうです。ただ、シマノ自身も、効果はライダーによって違うとして、具体的な数字は出していないそうです。
Q. 今のシューズで使える?
ここが一番の核心です。
記者は、新しいシマノのシューズでは好みのクリート位置を再現できましたが、調整幅の一番後ろぎりぎりでした。普段使っているスペシャライズドのシューズでは、後ろへの余裕が足りず再現できませんでした。そのシューズは、そもそも前と後ろの2択しか選べないタイプだったのです。
- シマノの分析では、ほとんどのライダーは今までの調整幅を全部は使っていないそうです
- 古いシマノのシューズなら、クリートが今より数mm前寄りになるだけで問題ないそうです
- クリート穴が固定タイプのシューズを使っている人は、シューズも買い替えないと向かない可能性があります
- 調整幅の広いグレーのクリートもありますが、その場合はスタックハイトが下がる恩恵はありません
Q. SPD-SLとどっちを選べばいい?
シマノは今後SPD-SLRを優先し、SPD-SLは徐々に過去のものになっていきそうですが、しばらくはサポートされるはずです(1990年代のSPD-R用の部品すら今も買えるくらいです)。
- これから新しくデュラエースやアルテグラのペダルを買うなら、SPD-SLRを選んで損はない
- 105やRS500など手頃なペダルは、まだSPD-SL。安く抑えたいならSPD-SL
互換性がないことで困った例もあります。今年のパリ〜ルーベで、ファンデルプール選手がパンクしたとき、チームメイトのバイクを借りようとしたら、相手は新しいSPD-SLRを使っていて、クリートが合わなかったそうです。
私の感想
23年ぶりと言っても、期待したほど「うわっ」という感じではない、というのが最初の正直な感想でした。今のものから買い替える気はまったくしませんし、お高いので、お金持ちだったとしてもわざわざ買い替えはしない気がします。
ただ、「使ってみたらこんなにダイレクト感が上がるとは想像していなかった」という声もあります。カーボンソールと樹脂ソールのシューズの違いが、重さよりも感覚の一体感だったように、実感は数字以上かもしれません。分からない、というのが正直なところです。
まとめ
- SPD-SLRは23年ぶりのシマノの新ロード用ビンディング
- スタックハイト2.3mm低下、クリート最大22%軽量、クリップインしやすい
- 最大の弱点はクリートの前後調整幅がほぼないこと。今のシューズで好みの位置に合うかを確認
- ペダルとクリートはSPD-SLと互換なし
- 新しく上位グレードを買うならSPD-SLR、安く抑えるならSPD-SL。ビンディングの基本はビンディング入門へ
よくある質問
SPD-SLとSPD-SLRは互換性がありますか?
ペダルとクリートには互換性がなく、混ぜて使うことはできません。シューズは同じ3ボルトなので使えますが、クリートの前後調整幅が狭くなったため、シューズによっては好みの位置に合わせられないことがあります。
SPD-SLRは何が良くなったのですか?
スタックハイトが2.3mm低くなり、クリートがワッシャー不要で最大22%軽くなりました。キャッチの角度が15.5°から10.5°に狭まり、クリップインもしやすくなっています。レビューでは接続感と安定感がトップクラスと評価されていました。
今SPD-SLを使っていますが、SPD-SLRに買い替えるべきですか?
私は、わざわざ買い替えるほどではないと思っています。これから新しくデュラエースやアルテグラのペダルを買うなら選んで損はありません。105などの手頃なペダルはまだSPD-SLのままです。
動画で見る
この記事の元になった動画です。実際の動きは映像のほうがずっとわかりやすいので、ぜひあわせて見てください。