ロードバイクのポジションとフォームの出し方|長距離を疲れずに走る3つのモード

・ 三岡慶利

動画「🔰 長距離にベストなロードバイクのポジションとフォームの出し方」のサムネイル

結論

  • サドルはフラットな形を水平に。後ろに座ってペダリングしたとき膝が伸び切らない位置に、前後と高さをセットで合わせます。
  • 骨盤は立てようとしない。必要な分はすでに立っていて、意識して立てると猫背になり、腰・首・呼吸に負担がかかります。
  • 長距離で首や背中が痛くなる原因は、筋力でも柔軟性でもなく腹圧を支えるインナーマッスルの不足。育つまではハンドルを近め高めにし、肘の内側を前に向けて乗ります。

100km、200kmを疲れずに走り切り、翌日も筋肉痛にならない。そのためのポジションの出し方とフォームの考え方を、最近の私自身の気づきも含めてまとめました。前提は、踏まないペダリングと、激坂での休むダンシングができることです。

あくまで私のやり方で、推奨ではありません。言い切りで書いていますが、すべて自己責任で取り入れてください。

基本のポジションの出し方

サドル、ハンドル、骨盤、首の順に決めていきます。これで「セーフモード」と呼んでいる、基本のフォームができあがります。

サドル:フラットな形を水平に

  • 形はフラット一択。 フィジークのアリオネやVXのような平らなサドルです。
  • 角度は水平。 乗っていてお尻が前へずれてくる角度はダメです。ずれてくる力を常に手で押し戻すことになり、無駄な力を使い続けます。
  • 前後位置は、後ろすぎは話にならない。 サドルの後ろ側に座ってペダリングしたとき、膝が伸び切らない位置が基準です。前後位置と高さは連動するので、必ず両方をセットで調整してください。

座り方は座骨で乗るのが基本。座骨はお尻の左右に大きく出っ張った骨で、会陰部(股の間)はサドルに軽く触れる程度で浮いている状態です。これがセーフモードの座り位置になります。

前後位置の私の判断基準は、「サドル後ろめに座り、両手を離してゆっくりの速度でもふらつかずに走れる」こと。膝からおもりを垂らす方法は使っていません(手放し運転は危ないので、真似はおすすめしません)。

ハンドル:水平か少し前上がり

ハンドル上部は水平か、やや前上がりに。前下がりはよくありません。セーフモードではハンドルの手前側、肩のあたりを持ちます。握るときは、手のひらの一部だけに強く当たらず、手のひら全体に均等に体重がかかる角度を探してください。

骨盤:立てようとしない

骨盤は「立てる」のではなく、立てすぎないことが大事です。尿道の圧迫でつらくならず、1時間以上乗っても下半身に違和感が出ないなら、必要な分はもう立っています。

それ以上立てようとすると、背中が丸まった猫背になります。

  • 段差でドンと突き上げられた瞬間に、ぎっくり腰のようになりやすい
  • ハンドルが遠くなる
  • 顔を上げる角度が大きくなり、首の後ろの筋肉がきつくなる
  • 肺が圧迫される

座骨の当たり方も、少し寝かせぎみのほうがきれいに収まって楽です。

首:おでこで前を見る

必要以上に顔を上げず、目線は上目づかいで前を見ます。ヘルメットは深くかぶらず少し上げぎみにすると、額が少し出て、それで十分前が見えます。スタート直後や街中の渋滞では顔を上げがちなので注意してください。

3つのモードで走る

ここまでで決めたのがセーフモード。短い距離なら「あれ、このフォームすごく楽だな」と感じるはずです。そこから状況に合わせて、座る位置を変えていきます。

モード 座る位置 手の位置 使う場面
セーフ サドル後ろめ、座骨で座る ハンドル手前の肩あたり 基本・長距離の大半
ノーマル 少し前へずらし、会陰部も軽く当たる 前へ出す(ブラケット付近など) 少し力をかけたいとき
パワー ノーマルと同様、肘を曲げて空気抵抗を減らす 同上 路面のいい平坦で飛ばすとき

前へずれるとサドルの斜めの部分に乗るので、滑り落ちてくるようならサドルをほんの少し前上がりにするのはありです。硬めのサドルや滑りやすいレーパンでは起こりやすいですが、少し上げるとしっくり来て、尿道の圧迫も起きないことがあります。

パワーモードは長距離では基本的に使いません。気持ちよく踏んでゾーン2の上のほうで長時間回すと、後で体力が枯渇してひどい目にあいます。

超重要ポイント:上半身をどう支えるか

バランスよく乗れば、お尻も手も痛くならず、体力的には200kmも楽に走れるはずです。実は体力はそれほど必要ありません。長距離で本当に問題になるのは、首や背中の中央の痛み。フォームを保つために上半身を支え続けることが原因です。

肘の内側を前に向ける

以前から「小指側で軽く絞り込んで脇を締める」とお話ししてきましたが、自分を観察して気づいた、もっと重要なポイントがあります。肘の内側(曲げると皮膚が重なる部分)を進行方向へ向けることです。

こうすると腕で上半身をぎゅっと支えられなくなり、肩の力が抜けた、なで肩の「お侍さん」状態に近づきます。大きな卵を抱えるようにふわっと力を抜いた状態です。

この肘の向きは、ダンシングにはすぐ効きます。信号からの発進などでハンドルがばたつく方は、重心が前に行きすぎています。肘の内側を前へ向けて肩の力を抜くと、ハンドルに体重をかけられなくなり、前後のバランスが自然に整います。

でも、リラックスは最初はできない

ところが、これは多くのライダーにはできないはずです。腕や肩の力を抜けば、上半身を支えきれず沈んでしまうからです。

お腹に仕事をさせる(腹圧)

上半身を下から支えているのは、腹圧でした。お腹の中を風船のように内側から膨らませる力で、横隔膜や骨盤底筋群などのインナーマッスルを使います。以前の動画で「なぜかお腹側に力を入れている」と話していたのは、これのことでした。

問題は、インナーマッスルは簡単には鍛えられないことです。使い方のコツをつかんでも、育つまでは強い腹圧をかけられません。プロ選手の胴体が分厚く見えるのは、このためだと思います。

腹圧を意識しつつ、なるべくお侍さん状態で、肘の向きに気をつけて乗り続けると、必要なインナーマッスルが少しずつ育っていきます。1年ほど乗らなかった後に急にきつくなり、しばらく乗るとまた楽になる。その理由は、筋力でも心肺でも技術でも柔軟性でもなく、この腹圧だったのです。

結論:ベストポジションは変わり続ける

  • 骨盤は立てようとしない。必要な分はすでに立っている
  • フォームはセーフ・ノーマル・パワーの3モードで変えながら乗る
  • ベストポジションは一度で決まらず、インナーマッスルの育ち具合で変わり続ける

腹圧が十分にかけられないうちは、長距離ではどうしても首や肩に負担が来ます。そのあいだはハンドルを近め・高めにして、腕で支える割合を減らしてください。インナーマッスルが育つと、遠く低いハンドルでも手を使わずに上半身を保てるようになり、もっと遠くしたくなるかもしれません。

なお、「サドル沼」はないと私は思っています。フラットなサドルでバランスよく乗れば、お尻も手も痛くなりません。お尻が痛いのは十中八九、乗り方の問題です。座骨幅や硬さの好みはもちろんありますが、骨盤の角度をわずかに変えるだけでぴたりと合う位置が、ほとんどの場合見つかるはずです。

よくある質問

ロードバイクで骨盤は立てたほうがいいのですか?

意識して立てる必要はないと考えています。尿道の圧迫がなく、1時間以上乗っても違和感がない程度なら、必要な分はすでに立っています。それ以上立てようとすると背中が丸まり、段差の衝撃で腰を痛めたり、首が疲れたり、肺が圧迫されたりします。

長距離で首や背中が痛くなるのはなぜですか?

上半身を腕で支えているからです。本来はお腹の内圧(腹圧)で下から支えますが、そのためのインナーマッスルは育つのに時間がかかります。しばらく乗らないと急にきつくなるのもこのためです。育つまではハンドルを近め高めにして、腕で支える割合を減らすのが対処法です。

お尻が痛いのはサドルが合っていないからですか?

十中八九は乗り方の問題だと思います。フラットなサドルを水平にし、座骨で座ってバランスよく乗れば、お尻も手も痛くなりにくいです。座骨幅や硬さの好みはありますが、骨盤の角度を少し変えるだけでぴたりと合う位置がほとんどの場合見つかります。

動画で見る

この記事の元になった動画です。実際の動きは映像のほうがずっとわかりやすいので、ぜひあわせて見てください。

  1. 1:57 動画の内容
  2. 3:01 基本的なポジションの出し方
  3. 3:35 サドル
  4. 6:14 ハンドル
  5. 7:14 骨盤
  6. 9:37 首
  7. 10:37 フォームの完成
  8. 11:27 3つのモード
  9. 15:34 超重要ポイント
  10. 17:39 肘の向き
  11. 18:48 リラックスなど出来ない
  12. 19:37 お腹に仕事をさせる
  13. 23:35 結論とまとめと対処方法

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