ロードバイクの骨盤は立てる?寝かせる?|疲れない角度の考え方

・ 三岡慶利

動画「🔰 [脱初心者] ペダリング入門2、骨盤を立てるか寝せるか問題、疲れずに100キロ以上を走ろう」のサムネイル

結論

  • 骨盤は寝すぎても(尿道圧迫・前荷重)立てすぎても(背骨への負担)ダメで、その間の範囲に収めるのが大前提です。
  • その範囲内なら、やや寝かせ気味のほうがお尻の筋肉と腹圧を使いやすく、効率が良いと私は考えています。
  • 最適な角度は体型や柔軟性で人それぞれ。長距離では角度を少しずつ変えて、使う筋肉を分散させるのがおすすめです。

「骨盤は立てろ」とよく言われますが、「寝かせろ」と言う人もいます。どちらが正しいのでしょうか。この動画はペダリング入門の続編で、骨盤を立てるか寝かせるか問題について、のんびり長距離を疲れずに走りたい私の立場からお話ししています。

最初にお断りしておくと、「この角度がベスト」という答えはお話ししません(できません)。あくまで私の個人的な意見です。後半では、クランク長の話と、激坂で使う「怠け者ダンシング」の補足もしています。

結論:どちらも正しい

「立てろ」と言う方々も、「寝かせろ」と言う方も、どちらも間違っていないと私は思います。

  • 乗り始めの人は骨盤が寝すぎになりがちなので、「立てろ」と言われる
  • ある程度立てられるようになった人にとっては、許される範囲の中でやや寝かせ気味のほうが有利なことがある

つまり、見ている段階が違うだけです。まずはダメな範囲を知っておきましょう。

寝すぎ・立てすぎの問題点

骨盤が寝すぎている状態

骨盤が寝すぎていると、次のような問題が出ます。

  • 尿道まわりの圧迫が強くなる
  • 体が前に行きすぎて、手・腕・肩・首・背中の上のほうがきつくなる。これでは長距離は絶対に無理です
  • 男性の場合、数時間乗ると陰部が驚くほど縮みます。降りて5分や10分では戻りません。この症状が出ていたら寝すぎのサインです

圧迫がきついからといってサドルを前に傾けるのは論外です。今度は手や肩に負担が来ます。また、ハンドルに腕を乗せるTTバーのようなものを付けると、私の場合はかなり前荷重になりやすかったです。

骨盤が立ちすぎている状態

逆に骨盤を立てまくると、背骨がこれ以上曲がらないギリギリのところまで丸まります。

  • 筋力ではなく骨で体を支える感じになり、一瞬「すごく楽かも」と感じる
  • しかし段差でドンと突き上げが来ると、ぎっくり腰のようなとんでもないことになる

立てすぎは危険で論外です。

目指すのはその間

状態 起きること
寝すぎ 尿道圧迫、陰部の縮み、手・肩・首の疲れ
立てすぎ 背骨がギリギリまで曲がる、段差で腰を痛める危険
その間 ここに収める。この中での微調整が今回の本題

範囲内なら「やや寝かせ気味」が有利だと思う2つの理由

ここからは特に私の個人的な考えです。

理由1:お尻の筋肉を効率よく使える

骨盤の角度が変わると、骨盤に対する太ももの骨の動く範囲が変わります。

ペダリング入門では「踏み下ろす力は一切使わない」とお話ししました。それができるようになってくると、踏む力ではない何かの筋肉を使うと、さらに回るようになります。そのとき使っているのはお尻や太ももの裏側の筋肉だと思います。実際、2000m登って200km走った翌日に筋肉痛になるのはお尻側です。

骨盤がやや寝ていると、お尻の筋肉はすでに少し伸びた状態から縮むことになります。立っていると、すでに縮み気味の状態から使うことになるので効率が悪いのではないか、というのが私の考えです。ただし、差はかなり微妙だと思います。

理由2:腹圧を使いやすい

プロ選手でも、力を抜いているときにお腹が少しぽこっとしていることがあります。自転車では腹筋そのものはあまり使いませんが、腹圧が働いていると私は思っています。

足が上がったとき、お腹と太ももの間が狭いほうが、腹圧で押し戻す力(反動のような力)が働きやすいはずです。範囲内でやや寝かせ気味のほうが、この力を使いやすいのではないかと考えています。

最適な角度は人それぞれ

体の柔軟性、お腹まわりの肉付き、筋肉の量で最適な角度は変わります。スプリンター体型の人があまり寝かせると、上がってきた太ももがお腹の肉に当たって抵抗になります。プロでも角度は選手ごとに違います。

私自身は、骨盤を立て気味にすると何となく疲れやすい気がします。そこで長距離では、疲れ具合やコースに合わせて立て気味・寝かせ気味を少しずつ変えて乗っています。使う筋肉が1か所に偏らないようにするためです。

余談:ショートクランクで何が変わるか

170mmから165mmや160mmのクランクに変えると「トルクが何%変わる」という話がよく出ます。計算上はそうなのでしょうが、私はそれは違うと思います。トルクや回転数は、たくさんあるギアのギア比で調整できるからです。

クランク長で一番変わるのは、**骨盤に対する脚の動く角度(範囲)**です。短いクランクはこの範囲が狭くなります。長めが合うか短めが合うかは体型や体質しだいで、ポガチャル選手でさえ172.5mmや165mmを試行錯誤しています。私ごときに正解が分かるはずはありません。

補足:激坂は「怠け者ダンシング」で登る

日本で200km走れば必ず山があり、超激坂区間も出てきます。シッティングだけでは筋力も心肺も追いつかなくなるので、足をつく前に踏まないダンシングを混ぜます。

  • ギアはあえて重めに上げて回転数を下げる(使い切った状態から2〜3枚上げるイメージ)
  • 全身をぐーんと伸ばし、階段を一段上がるように踏み足側にひょいっと乗る
  • 手は体を少し持ち上げる手助け程度
  • 乗った瞬間に膝がほぼ伸びているのがポイント。あとは体重でペダルが降りる
  • とにかくゆっくり。ダンシングでも心肺には来やすいです

シッティングとは違う筋肉を使うので、ダンシングの後に座ると脚がかなり楽になっています。立ったり座ったりを繰り返すと、同じ体力でも登れなかった坂が登れるようになります。詳しくは休むダンシング入門やクライム入門をご覧ください。

半分オカルトとして聞いてほしいのですが、一度途中まで登ると、翌日は疲れているはずなのに前より少し登れるようになります。体なのか脳なのか分かりませんが、これは事実です。

まとめ

  • 骨盤は寝すぎ(尿道圧迫・前荷重)も立てすぎ(背骨への負担)もダメ
  • 乗り始めは寝すぎがちなので「立てろ」と言われるのは正しい
  • 範囲内ならやや寝かせ気味のほうが、お尻の筋肉と腹圧を使いやすいと私は考えている
  • 最適な角度は人それぞれ。長距離では角度を変えながら筋肉を分散させる
  • クランク長で変わるのはトルクより脚の動く角度
  • 激坂は怠け者ダンシングとシッティングを交互に。細かいことは自分で色々試すのが一番です

よくある質問

ロードバイクでは骨盤を立てたほうがいいのですか?

乗り始めは骨盤が寝すぎになりがちなので「立てろ」と言われますが、立てすぎると背骨に負担がかかります。寝すぎと立てすぎの間に収まっていれば、その中ではやや寝かせ気味のほうが効率が良いと私は考えています。

骨盤が寝すぎているサインは何ですか?

尿道まわりの圧迫感が強い、手・肩・首がきつい、何時間か乗ると男性の場合は陰部が縮んでしまう、といった症状が出ていれば寝すぎのサインです。サドルを前に傾けてごまかすのはやめましょう。

ショートクランクにするとトルクが増えますか?

私はそうは思いません。トルクや回転数はギア比でいくらでも調整できるからです。クランク長で一番変わるのは、骨盤に対する脚の動く範囲(角度)だと考えています。

動画で見る

この記事の元になった動画です。実際の動きは映像のほうがずっとわかりやすいので、ぜひあわせて見てください。

  1. 3:11 寝すぎの状態とその問題点
  2. 4:55 縦すぎの状態
  3. 7:54 寝ぎみの利点1:お尻の筋肉
  4. 11:38 寝ぎみの利点2:腹圧
  5. 13:07 効率とそれぞれ
  6. 15:46 ショートクランクの真実
  7. 19:00 ゲキサカ攻略と怠け者ダンシング
  8. 25:45 まとめ

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