ダンシングのやり方と5つのルール|激坂を休みながら登る
![動画「🔰 [脱初心者] 休む / 踏まないダンシング入門、ゲキサカを疲れずに登る」のサムネイル](https://i.ytimg.com/vi/OAk7K5ioyFc/maxresdefault.jpg)
結論
- ダンシングはシッティングと違う筋肉を使うので、20秒ほど混ぜるだけでシッティングの脚が休まり、座り直すと驚くほど楽になります。
- ルールは5つ。鬼のようにゆっくり(重めのギア)、下死点付近でも踏み下ろさない、胸を立てて前を見て前荷重、自転車を積極的に振らない、自分はかっこいいと思うこと。
- 一番大切なのは、踏み足の力を早めに後ろ向きに変えて体に「ため」を作り、12時半〜3時を踏まずに乗り換えることです。
この動画は、長めの激坂をシッティングだけでは越えられないときに使う、私が「怠け者ダンシング」と呼んでいる踏まない・休むダンシングを詳しく説明したものです。約56分と長いので、まずは要点だけをまとめた10分版のダンシング解説を先に見ていただくのがおすすめです。
目的は速く登ることではありません。のんびり疲れずに長距離を走り、足をついて押し歩くことなく山を越えるためのダンシングです。あくまで私個人のやり方としてお聞きください。
基本原則はシッティングと同じ
考え方は、シッティングで使うナマケモノペダリングとまったく同じです。
- 前の足(踏み足)は踏み下ろさない。体重で自然に降りるがままにする
- 後ろの足(引き足)はしっかり脱力し、ペダルに下向きの力がかからないようにする
- 体のどこにも無駄な力を入れない
違うのは、お尻を浮かせている点だけです。そのぶんポジションよりもフォームと体の動かし方が大事になります。むしろ超激坂のほうが、前足側に乗らないとペダルが降りないので、分かりやすいかもしれません。
なお、シッティングでは自転車を左右に振るとお話ししましたが、このダンシングでは振りません。
なぜ登りでわざわざ立つのか
正直に言うと、怠け者ダンシングでもシッティングより筋肉や心肺への負担は大きいです。それでも立つ理由は一つ、シッティングとは違う筋肉を使うからです。
シッティングで「このままだと限界だな」と感じたら、ダンシングを20秒でも(できればもう少し長く)やってから座り直してください。さっきまでパンパンだった脚が「あれっ」と思うほど楽になっています。ダンシングの間に、シッティングの筋肉が自動的に休めていたわけです。
ちなみに、足をついている人に求められてもいないアドバイスはしないほうがいいです。技術の存在を知らないうちは「体力の問題でしょ」と思われるだけですから。
5つの基本ルール
| No. | ルール | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 可能な限りゆっくり | 回転数が上がるならギアを重くする |
| 2 | 前足は踏み下ろさない | 特に下死点の手前から下向きの力を抜く |
| 3 | 胸を立て、前を見て、気持ち前荷重 | ハンドルにもそこそこ体重を乗せる |
| 4 | 自転車を積極的に振らない | 自然に振れる分はOK |
| 5 | 俺・僕・私かっこいい | 気持ちの持ち方で疲労度が変わる |
1. 鬼のようにゆっくり
目的はシッティングの筋肉を休ませることです。ダンシング中もロスしないよう、とにかくゆっくり。どうしても速く進んでしまうなら、回転を上げるよりギアを重くしてください。
2. 下死点で踏まない
シッティングとの違いは下死点付近です。「前足側に乗っかろう」とだけ考えると、下まで踏み込みすぎて脱力できなくなりがちです。下死点より手前から下向きの力をかけないようにします。後で説明する「グニョン」の動きを意識すると、自然にそうなります。
3. 胸を立てて前を見る
- 胸は立て気味、前を見るが顎は上げない。下を見ると胸が縮みます
- 腕にそこそこ体重を乗せる。ただし乗せすぎて肩が上がる(いかり肩)のはダメ。正面から見て、お侍さんが構えたようななで肩のイメージです
- 腰は前に出すが、下に落とさない。腰が落ちて背中が反り、肩が出るのが一番ダメな形です
上体を起こしていると足を上げやすくなります。プロ選手はここまで上体を起こさなくても登れますが、それは怠け者ダンシングではありません。シッティングの怠け者ペダリングと、このダンシングだけで、ブルベ200kmくらいは普通に完走できるレベルになれます。
4. 自転車は振らない
積極的に振って左右に体重をかけると、タイミングが遅れてリズムがおかしくなります。激坂のゆっくりしたダンシングでは、左右の重心のブレは致命的です。
5. 自分はかっこいいと思う
冗談ではなく、本当に重要です。私は元自衛官ですが、暑い中を長距離走るとき、号令をかけるリーダー役のときは不思議なほど辛くありませんでした。気持ちの持ち方で疲労度はかなり変わります。笑顔で登ると脳内物質の出方が違うのです。初心者には登れない坂を涼しい顔で登るあなたは、かっこいいのです。
体の動かし方:「うん、グニョ、オン」
擬音で言うと「うん・グニョ・オン」です。
うん:体重で前足を降ろす
- 両膝がほぼ伸びた状態から、全体に前へちょいステップ。体重で前足のペダルが降ります
- 最初は手が疲れるくらいハンドルにも荷重してください
- 体全体をストンと下まで落とさず、上体は残す感じにします
- 降り始めに骨盤を気持ちだけ回すと助けになります(やってもやらなくてもよい程度)
グニョ:伸びをするポーズで「ため」を作る
踏み足が降り切る前に、伸びをするような「グニョンポーズ」に移ります。
- 私の意識は、右肩の後ろと左のお尻を引きつけるイメージ(左足が降りる場合)
- 同時に、下向きだったペダルの力を早めに後ろ向きに変えます。走っている人がぴょんと跳ぶときの後ろ足のようなイメージです
- このポーズは、次の「オン」のためのためです
意識と実際の動きは違っていて、私は右胸を前に出す意識ですが、実際には右胸は残っているだけです。動画の3Dモデルとまったく同じにする必要はありません。
オン:12時半〜3時を踏まずに乗り換える
ここが一番大事で、一番難しいところです。上から12時〜3時の足は、超激坂ではそもそも踏めません。
- グニョンの反動を使う
- 腰から上を前+上に移す(腰は下げない)
- 手と腕で上体をひょいと持ち上げる
上体が上がれば脚に余裕ができるので、踏まずに足が回っていきます。3時を過ぎれば、また体重で降ろせます。
全部は連動しています。一つひとつ考えながらでは動けません。私の頭にあるのは「うん、グニョ、オン」の擬音だけで、あとは体が覚えています。ここがうまくいかないと、たった1ペダルで脚に乳酸がたまって終わってしまいます。逆にうまくつながれば、踏めないほどの激坂でも登っていけます。
私が考えたインチキテクニック
脚はもつのに心肺が追いつかないとき、両膝が伸びてどちらのペダルにも乗っている位置で、ほんの一瞬止まってください。0.1秒、0.05秒でも構いません。心拍がすっと落ち着きます。
邪道中の邪道ですし、本来は心肺機能を鍛えるのが王道でしょう。でも効果は本当にあります。もちろん、危ないと思ったら素直に足をついて休んでください。
まとめ
- ダンシングはシッティングと違う筋肉を使う。20秒混ぜるだけで脚が回復する
- 5つのルール:ゆっくり・下死点で踏まない・胸を立てて前荷重・自転車を振らない・自分はかっこいい
- 動きは「うん(体重で降ろす)・グニョ(伸びでためを作る)・オン(反動と腕で踏まずに乗り換える)」
- 一番大事なのは12時半〜3時を踏まずにこなすこと。そのために早めに力を後ろ向きに変える
- 最初はハンドル荷重を多めに、上体を起こし、おでこで前を見るとやりやすい
- 心肺が限界なら一瞬止まる裏技も。登りの全体像はクライム入門へ
よくある質問
立って漕ぐほうが疲れるのに、なぜ登りでダンシングするのですか?
ダンシングそのものはシッティングより負担が大きいですが、使う筋肉が違います。ダンシングしている間にシッティングの筋肉が休めるので、交互に使うと結果的に楽に登れます。
ダンシングのときに自転車は左右に振るべきですか?
激坂のゆっくりしたダンシングでは、積極的に振らないでください。自然に振れる分は問題ありませんが、左右に体重を大きくかけるとリズムが崩れやすく、重心のブレは致命的です。
激坂で心拍が限界になったらどうすればいいですか?
両膝が伸びた位置でほんの一瞬(0.1秒でも)止まると、心拍がすっと落ち着きます。私が考えた邪道なテクニックですが効果はあります。無理はせず、危ないと思ったら足をついて休んでください。
動画で見る
この記事の元になった動画です。実際の動きは映像のほうがずっとわかりやすいので、ぜひあわせて見てください。