ロードバイクで坂を楽に登るには?|クライム入門まとめ

結論
- 坂がきついのは、車体が傾いてサドルが大きく後ろに下がり、ママチャリのような姿勢になるから。登る前にサドルを前に出し、登りではサドルの先端に座ります。
- シッティングはゆっくり、ハンドルを左右に振って戻しを優しく。きつくなる前に、踏まない「休むダンシング」を10〜20秒混ぜると脚が驚くほど回復します。
- ダンシングの鍵は、踏み足が降り切る前の「グニョンポーズ」と、自分はかっこいいと思う気持ち。ただし最低限の体力と、あまり太っていないことは前提です。
「登りが苦手」というコメントをたくさんいただいてきました。このチャンネルには、クライム入門、クライム入門ゼロ、激坂対策、休むダンシング入門、プロへのインタビュー記事の紹介と、登りの動画が5本(合計101分)あります。その中身を20分ほどに詰め込んだのがこの動画です。
正直に言うと、5本の動画の自動文字起こしをAIに読み込ませてまとめ、途中から私の構成が入っていない部分もあります。気になるところがあれば、それぞれの元の動画もご覧ください。なお、私はそんなに強い乗り手ではありません。自分より少しうまい人はすごく見えるもので、私よりはるかにうまい人はいくらでもいます。
Q. なぜ登りはきつい?
ペダリングの基本は平坦と同じ
筋力や心肺をなるべく使わず、体重で自然にペダルを降ろす。後ろ足の脱力と前足の脱力。これが基本の基本で、平坦でも登りでも同じです(ペダリング入門)。この脱力ができるかどうかは、サドルの前後位置がめちゃくちゃ重要で、後ろすぎると足が自然に降りる位置がなくなります。
坂ではサドルが大きく後ろに下がる
坂道では自転車ごと後ろに傾くので、BBに対するサドルの位置が大きく変わります。
- 10%勾配(約5.7°)でも、サドルは6cm以上後ろに、2cmほど下にずれる
- 18%勾配(約10.2°)では、約11cm後ろに
- さらにハンドルは近く、高くなる
身長160cm台の私でも、BBからサドル上面までは約66cmあるので、傾くとこれだけ動いてしまうのです。つまり坂に入った瞬間、ほとんどママチャリの乗車姿勢になります。ママチャリで坂に来るとすぐ立ち漕ぎしたくなるのと同じです。
Q. どうすればいい?
1. 登る前にサドルを思い切り前に出す
坂の前で一度止まって、サドルを前にずらすだけ。可能ならゼロオフセットのシートポストでさらに前に出せます(買わなくても大丈夫)。長い峠ならサドルの角度も少し前下がりにしたほうが理論的にはいいはずですが、正直、私は角度までは動かしません。
2. 登っている間はサドルの先っちょに座る
自然に前荷重になり、足に体重が乗りやすくなります。長く座っていると痛くなりますが、それはダンシングで解消します。これは技術ではなく準備で、誰でもすぐできて、相当変わります。
Q. シッティングのコツは?
ダンシングは目的ではありません。坂を楽に登れればそれで十分で、シッティングのほうが体への負担は軽いのです。
- フラットペダルなら土踏まずで踏む。激坂では、仮想的にBBが下がったような効果がある
- ギアは軽め。ただし軽すぎると心肺がきつくなる
- ハンドルを左右に振る:右足が降りるときは右手を引く、または左手を押す。倒れるのは自転車だけで、体の重心は中央に
- 一番大事なのは戻し。押した後、ハンドルが戻るときにふっと優しく戻すと、足が降りるだけでなく回るようになる
- 意識するのは上がってくる後ろ足。階段を上るように、トンと乗せる
- 本当は前後バランスが一番大事。前に来すぎると腕がきつくなる。イメージは自転車の真ん中に乗る
乗り方のコツをABCでまとめると、A. なるべくゆっくり、B. 左右に振る、C. ダンシングを混ぜるです。詳しくは坂道シッティングのコツとクライム入門へ。
Q. 休むダンシングとは?
私が勝手に「怠け者ダンシング」と呼んでいる、踏まないダンシングです。目的は加速ではなく、シッティングで疲れた筋肉を休ませることです。
シッティングで限界が近づいたら、10〜20秒ダンシングして座り直してみてください。誰でも実感できるほど脚が楽になっています。サドルの先端で痛くなったお尻も休まります。
5つの基本
- なるべくゆっくり。ギアはあえて少し重めでいい
- 前足は絶対に踏み下ろさない。特にペダルが一番下に来る手前
- 胸を立てて前を見る。ただしやりすぎない。腕に乗せすぎて肩を出さない、腰は前に出すが落とさない
- 自転車を積極的に振らない。シッティングとは逆で、自然に揺れる分だけ
- 俺かっこいいと思う。私が自衛隊で号令役をしたときのように、同じ辛さでも平気になる。地元の少年が憧れの目で見ていると想像してください
前荷重がまったくない状態で立つと、一漕ぎで脚が終わります。前に乗ることが大前提です。
体の動かし方:グニョン、ふわっ
膝がほぼ伸びた状態から前にちょいとステップし、体重で前足を降ろす。降ろし切る手前で、伸びをするような変なポーズ(グニョンポーズ)を取ります。私の意識は、右肩の後ろと左のお尻を引きつけ、下向きの力を後ろ向きに変える感じです。そして体をふわっとさせると、反対の足がすっと降りていきます。12時〜3時が一番苦しい山場で、そこを越えれば重力で降りていきます。
完全に同じ形でなくていいし、極端な動きにするとかえって歪みが出ます。一つひとつ考えすぎず、全体を滑らかにつなげてください。詳しくは休むダンシング入門と10分版へ。
Q. もう限界、というときの裏技は?
- ペダルが水平になった瞬間に一瞬止まる(0.1秒くらい)。心拍がすっと落ち着きます。私が思いついたもので、物理的には一度も足をついていません
- ハンドルを逆に切る(蛇行)。左に傾いたらさらに左に切り、ぎりぎりで切り返す。わずかに進む力が生まれ、あと5〜10m進めます。ただし危ないので、周りに誰もいないとき以外は使わないでください
基本的には、素直に足をついて休むのが一番です。
Q. プロのクライマーのコツは?
番外編として、BikeRadarのトップクライマーへのインタビュー記事の感想も話しています。低強度の練習を長めに、時々高強度を混ぜる。目標の坂に近い勾配で慣れる。筋トレ。軽量化より体と心を鍛える。最後の5分で少しだけ上げる。補給は30分おきくらい。詳しくはヒルクライム14のコツへ。
まとめ
- 坂がきついのはサドルが大きく後ろに下がるから。サドルを前に出し、先端に座る
- シッティングはゆっくり・左右に振る・戻しを優しく
- きつくなる前に踏まない休むダンシングを混ぜると脚が回復する
- ダンシングの鍵はグニョンポーズと、自分はかっこいいと思う気持ち
- 最低限の基礎体力と、あまり太っていないことは前提。でも技術の割合はとても高い
- 坂は短い距離で楽しめて、標高が上がると涼しくなるのも気持ちいいものです
よくある質問
ロードバイクで坂道がきついのはなぜですか?
坂では自転車ごと後ろに傾くので、クランクの軸(BB)に対してサドルが大きく後ろに下がり、ハンドルは近く高くなります。10%勾配でもサドルは6cm以上後ろにずれる計算で、ほとんどママチャリの姿勢になってしまうからです。
坂道ではシッティングとダンシングのどちらがいいですか?
基本はシッティングで、体への負担も軽いです。ダンシングは目的ではありません。ただ、シッティングと違う筋肉を使うので、きつくなる前に10〜20秒ほど踏まないダンシングを混ぜると、座り直したときに脚がかなり楽になります。
激坂で心拍が上がりすぎたときはどうすればいいですか?
ペダルが水平になった瞬間に、ほんの一瞬(0.1秒くらい)止まると心拍がすっと落ち着きます。私が思いついた裏技です。ただ、無理はせず、苦しいときは素直に足をついて休むのが一番です。
動画で見る
この記事の元になった動画です。実際の動きは映像のほうがずっとわかりやすいので、ぜひあわせて見てください。